昨日の記事で小出監督の本について語った。今回は同監督の中級者以上を主な対象とした実践編の紹介。
タイトルからも想像出来るが、本書で小出監督は早く走るためのコツとして後半型を主張している。後半型自体は新しい概念ではないのかもしれない。実際、後半型に関する書籍は何冊か出ていると記憶している。 一方、本書程後半型の利点とその理由及び後半型を採用することにより生じるランナーの不安について明確に説明されている本は珍しいのではないか。 後半型がマラソンに向いている理由について筆者は平均ペース型と先行型を比較対象として提示し、その結果後半型の利点が非常に明確に読者に伝わってくると思う。 後半型の利点を明確にした後、筆者はランナーのレベル(タイム)毎の練習メニューを紹介している。強調されている点は前作と被っている点が多いが(同じ競技なのでそれはまぁそうだろう)、一方で2つのスピード等、後半型に特化した概念がしっかりと説明されている。 最後の故障に関する章は、上級者にとってはもしかしたら一番重要かもしれない。というのもサブ3を目指すランナーにとっての最大の心配事を言っても過言ではないのが故障だからだ。筆者は、故障については誤魔化してもいいことは無いと断言し、怪我した時は休むことが一番と言う。他の人が言っても聞き流すランナーも小出監督ならとなる人はいるだろう。レースの欠場に関する決断も同じことが言える。一流の指導者がこうしたことを一般人に向けられた書籍で述べていることは非常に重要だと私は思う。 マラソンが好きな人、その中でも伸び悩んでいる人にとって本書はとても参考となる一冊ではないだろうか。