有森裕子:やめたくなったら、こう考える④

やめたくなったら、こう考える (PHP新書)/PHP研究所


有森選手の本に関する感想シリーズの最終回です(一回目二回目三回目)。

最後は有森選手が試行錯誤について語っている部分について書きたいと思う。

有森選手は好きとはいえないマラソンを長く続けてきた。その理由の一つとして試行錯誤し、改善する工夫を設ける様にしていたことを挙げている。そうすることに喜びを感じることが出来たと言う。

発見という言葉を使い、その試行錯誤について更に説明している。何故という発見、自分の体や技術、恐らく身体操作方法やパフォーマンスの向上であろう、に関する新たな発見である。

こうしたことに喜びを感じることが出来るということは、あくまでも想像であるが、有森選手が些細な変化を見逃さない感覚を持ち合わせ、更にその変化に対する質問を作り上げ探求する能力を持ち合わせていたのだと思う。

私も含め多くの人にとってこれは非常に難しいことなのではないと思う。問題を作り上げるにはある程度のレベルの身体操作能力及び理解力必須であり、また、問題作成を繰り返すということは、それ以前の質問に答えられるということが前提条件となる可能性が高いからだ。この試行錯誤の話に有森選手の非凡な才能を感じることが出来る。

同じことは比喩的な意味での壁を乗り越えることでも感じることが出来た。目的をかなえる手段は幾つもあると述べる有森選手は実際に幾つもの方法を思いついてきたのであろう。

それは勿論才能のみによるものではない。努力の結果、前回述べた根本がしっかりしていたから迷った時でも挽回出来る確信があったことにもよるであろう。

有森選手も述べる通り、好き嫌いと関係なくやらなければならない物事というのは誰にである。その際に胸を張って述べることの出来る“辞める理由”が無い場合でもそれを継続するにはどうすれば良いか。本書にはその答えとなれるヒントが沢山詰まっている。

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