小出義雄:マラソンは毎日走っても完走できない

マラソンは毎日走っても完走できない―「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ (角…/角川SSコミュニケーションズ

年末のレースに向けたトレーニングを始めたこともあり、何冊かランニング関連の書籍を紹介していこうと思う。

まずは有森選手や高橋選手を指導したことで有名な小出義雄監督の著作。マラソン完走に向け主に初心者及び中級者を対象としたと思われる一冊。

最初の章は、マラソンというか、走ること(もちろん中距離以上を念頭に置きつつ)の準備について。具体的には走れる体をつくること、特に脚を作ることだ。そこには体重を減らすことやスピードが落ちる要因についての説明がなされている。


本書で特に強調されていることのひとつがトレーニングに負荷をかけることだ。具体的な方法は本書を読むことで分かるのでここでは触れないが、このことを念頭に置くだけでもマラソン練習への取り組み方が変わるのではないか。

本書が非常に親切だと思う点は、私を含む一般人の多くが仕事の都合上練習時間の確保、特にマラソンの場合、が難しいことを念頭に置いた上での練習メニューを提案していることだ。時間の確保が難しく、走ることを辞める人はおそらく多いであろう。本書により、辞めることを踏みとどまった人はそれなりにいるのではと思った。

また、特に初心者に向けてであろうが、三日坊主についてもかなり優しい解釈が提示されている。見かけによらず優しい監督だと思った人もいるのではないかな。しかしその上で練習は裏切らないと断言する。五輪メダリストを二人育てている監督の言う言葉だけに説得力があり励まされる。

技術的なことを提示する一方、そこまでこだわる必要がないと思うことに関してはハッキリと伝えている。指導者としての自信が成せることであろう。

走ることが好きな人もそうではなくてもスポーツが好きな人にお勧めしたいです。多くの人が何かしらのヒントを得ることが出来る本だと思います。

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