片桐はいり:グアテマラの弟

グアテマラの弟 (幻冬舎文庫)/幻冬舎

片桐はいりの第二作目。

先月紹介した初エッセイ本「私のマトカ」の次の作品ですね。

今回の舞台は中米グアテマラ。著者の弟が現地の女性と結婚して長い間住んでいる国だ。著者の弟が住んでいるのはアンティグアというグアテマラの古都。ユネスコに世界遺産登録されているので知っている方も多いと思う。

弟 とは長く疎遠だった著者、インターネットもさほど普及していない時代に十数年殆ど会うことの無かった弟に会いにアンティグアに向かうことを決意する。本書 は著者のグアテマラでの出会い、弟との電話や現地、また日本におけるやり取り、弟の妻とその連れ子の日本滞在と著者の家族との出会い等、様々なことを著者 の独特の視点から語っている。

前作と同様、著者はグアテマラという地に殆ど知識を持たずに向かった。当時、グアテマラと言えばコーヒー以 外に思い浮かべるものが中々無かったというのも一般的な日本人では当然ではないかと思う。しかし、若しくはだからこそというべきか、非常に新鮮な視点でグ アテマラやそこに住む人々の生活を鮮やかに描写している。

弟が住んでいる国だから肩肘張ってということも無く、著者が感じた事を思いのままに綴っているという印象を受けた。具体的には触れないが、例えば弟の友人の話や、犬の話、またグアテマラの習慣や著者の父のコーヒーに関する話題等だ。

また、非常に読みやすく書かれているにも拘わらず、ふとグアテマラの問題点に触れる点や、グアテマラに関する知識やスペイン語力が限られている著者だからこその発見等、興味深い点が沢山詰まっている。

前作でも思ったことだが、ただ単に面白い作品と言うだけでなく、著者の魅力が本から滲み出てくる感じのする本だ。素直で先入観をあまり持たず、且つ物怖じする性格でもない。ドジ話が結構出てくるがおそらく機転も利くタイプではないかな。

治安問題が深刻化しているグアテマラだがこの本を読んだら是非行ってみたいと思われる方が多いのではないか。是非お勧めしたい一冊である。

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